美術の祭典 東京展 TOKYOTEN
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2007東京展主催シンポジウム  
東京展 vs VOCA展を振返って
さる9月24日(月・祝)に第3回目となる東京展シンポジウムが東京都美術館講堂で催された。今回はパネラ−として、美術評論家:赤津侃先生、府中美術館館長・多摩美術大学教授:本江邦男先生、作家として2002年VOCA賞受賞者:曽谷朝絵女史、東京展から杉田五郎氏が参加した。テーマは『コンクールと団体展に見る日本美術の行方』と題して活発に意見の交換が行われた。
先ず若い世代の美術界の登竜門的存在である「VOCAとは何ぞや」から始まり、団体展の現状などに言及していった。赤津先生の言葉を借りれば本年は「団体展元年」であるそうだ。理由は団体展が、国立新美術館と都美術館に別れた最初の年であり、各団体とも新出品者確保に懸命であり、色々な面で団体展の新生を図ろうとしている事による。
東京展は他団体に先駆けシンポジウムを行い、同時に今回のように歴代VOCA賞受賞者展を企画し、他に先行している。がしかし、今回シンポジウムで浮き彫りにされたのは、本当に若い作家達は団体展には冷ややかであり、VOCA展に代表されるコンクールや個展を主眼としていることだ。
VOCA賞受賞者曽谷女史の話を聞いていても良くそれが解った。一時代を築いた団体展の面影は今は無い。それをどう新生させるかが団体展に課せられた大きな課題と言える。本江先生は一頃のように各新聞社がこぞって団体展を取り上げないのは何故なのか、もっと各団体展は声を上げて新聞社に抗議すべきであると言っていた。
注目されるべき作家として各団体展から若手の作家名が出なければ、当然優秀な作家も出品はしないし、時代的な年功序列では況してやである。VOCA展は著名な評論家による推薦でVOCA展に出品、VOCA賞が決まる。若手の作家にとっては是が非でも手に入れたい賞である。
一方で団体展も視野に入れ各団体の推薦による損保ジャパン大賞展もある。損保ジャパンのような展覧会、賞はもっと多くあっても良いのではないかと今回のシンポジウムを聴いて感じた。それが団体展興隆に繋がるだろうし、若い作家達も注目してくるのではないだろうか。時間の制約があり更に突っ込んで核心に迫る話しが聴けなかったのは残念であるが示唆に富んだ話しは多々出ていた。

最後に東京展企画のVOCA賞受賞者展について一言。やはり選ばれて出てきている作品群なので密度、技術的なレベルが高い。しかしそれよりも、気韻生動というか何か透き通った純な空間を感じた。積み上げられた奥深さは無いが無駄を殺ぎ落とし純化された作家の心を観た気がした。
芸術というものは何時の時代でも若い世代のものだし(年がいっていてもその作家の精神が若いという意味)革命的な運動も若い感性によって行われてきている。東京展はじめ各美術団体は今一度、このことを銘記すべきではないか。東京展には権威主義や年功序列は存在しない。あとは質の高い作家をいかに取り込むかだ。それには一つの時代の運動体になるような主潮も必要だろう。第1回東京展で見せたあのうねりの様に。

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